今日は私が今回のイギリス旅行で、文句無しに一番楽しかった「Fringe(フリンジ)」を取り上げたいと思います。
「フリンジ?なにそれ?」
ほとんどの人がそう思うと思います。
ミリタリータトゥーを観るためにエジンバラに行った私は、フリンジのことなどは全く知りませんでした。
しかし町の異常な盛り上がりに、最初は
「エジンバラで何が起こっているの?」
と、戸惑いました。そして、フリンジの全貌を知った時、異次元の楽しさが私を待っていたのです。
さぁそれでは、フリンジについての話を始めることにしましょう。
あらゆるジャンルのエンターテイメントを約1ヶ月間1日中楽しめる
エジンバラのフリンジを簡単に説明すると、8月の約1ヶ月間、演劇、ミュージカル、ダンス、コメディー、トーク、ジャズ、ロック、アカペラ、子ども向けショー、サーカスなど、ありとあらゆるショーが朝から夜中まで提供されている、エンターテイメントのお祭りです。
劇場前のポスター
プログラム数は3,000個以上あり、会場は300カ所以上、1ヶ月の全公演数は50,000公演を超えます。
つまり8月はエジンバラの街全体が公演会場で埋め尽くされ、町中をパフォーマンスに向かう演者とそれを観に行く観客が行き交うという、もうエンターテイメント好きにとっては桃源郷、まさにユートピアのような場所になるのです。
この動画がフリンジのイメージをすごくよく表しています。こんな風に、まさに怒涛のように次々と、いろんな公演を鑑賞できるのです。
フリンジの歴史
第二次世界対戦後の1947年に、エジンバラで国際フェスティバルが始まりました。その時、フェスティバルに招待されなかった劇団員たちが、会場のへり(フリンジ)で自主的に公演を始めたのが、フリンジの起こりです。
1958年にはフリンジフェスティバル協会が創設され、国際フェスティバルとは一線を画した独自の進化を遂げています。
歴代のフリンジのポスター
フリンジはエジンバラの夏の風物詩であり、今や本家本元のエジンバラ国際フェスティバルを凌ぐ人気を誇っています。またフリンジを楽しむために世界中から多くのパフォーマーや観客が集まっています。
8月のロイヤルマイルは人、人、ゾンビ?トランプ?
8月にエジンバラを訪れる観光客は、ロイヤルマイル(エジンバラ城からホルリード城までの石畳の道)が、世界遺産の中世の街を楽しむ通りではなく、公演のチラシを配る人や大道芸、それを見る観客で溢れかえっている姿を見ることになります。
チェーンソーを持つ少年 めちゃくちゃ盛り上がった路上パフォーマンスでした。
私にミリタリータトゥーを勧めてくれた友人や、旅先で知り合った人も、「ロイヤルマイルが人で溢れている」ことには気づいていましたが、それが何なのかはわからずにいたようでした。
トランプ?実は下半身はピンクのスパッツ姿なんです。
ロイヤルマイルは、公演の出演者やスタッフたちが毎日の公演の合間をぬって、集客のためのチラシ配りやパフォーマンスをしています。
気さくなゾンビさん
そのためロイヤルマイルは、教会や老舗が並ぶ目抜き通りではなく、老若男女がパフォーマンスを見たり、記念撮影をしたり、時にはチラシ配りの人との会話が弾んだりという笑い声や歓声が飛び交う場となります。
フリンジの公演のチケットの買い方
フリンジの公演のチケットを買うためには、まずロイヤルマイルにあるフリンジセンターに行き「Friend(フレンド)」になる必要があります。
フレンドには、「Friend(£35)」「Close Friend(£70)」「Best Friend(£160)」「Fringe Patron or Angel(£500〜)」の4種類があります。
それぞれ特典が違いますが、観光客なら一番安い35ポンドの「Friend」で十分だと思います。
「Friend」は15公演まで、1枚のチケット料金で2枚のチケットを購入することができます。(Close Friendは25公演まで)
一度フレンドになれば、その後は市内になるチケットコレクションや各劇場で、鑑賞のチケットを購入することができます。
フレンドの会員証のようなものはなく、フルネームを伝えると、それで登録情報が確認されてチケットが購入できます。そのためすべてのチケットに名前が印字されています。
公演の時間や料金
1公演の上演時間は、概ね1時間に統一されています。そのため時間をうまく使えば1日いくつもの公演をはしごすることができます。私はあまりにも楽しくて、1日に6公演観ました。前の日にも1公演観たので、合わせて7公演を観ることができました。
このように、はしごで公演が観られるのは、フリンジのチケットの安さのおかげです。
私が買った中では一番安いものは£7(約1,000円)、一番高い公演でも£15(2,200円)でした。
またエジンバラ駅の近くの新市街には「Half price Hut」と呼ばれる、当日半額でチケットが売り出される券売所があります。
ここでは、半額で売り出される公演が、電光掲示板で次々と表示されます。
私は朝一番で「Half Price Hut」へ 行き、2枚の半額チケットを購入しました。
ここでは£9の演劇のチケットを半額の£4.5(約680円)で買えたので、実際はこれが一番安いチケットということになります。
公演のレベルは?
例えば、(私が見た)演劇に関しては圧巻のパフォーマンスでした。さすが「エジンバラ国際フェスティバル」のお膝元で、その人気を凌ぐだけことがあります。
イギリスにはいくつもの大学の演劇学科があるせいか、身体の表現の仕方一つとってもレベルの高さが感じられ、それはかなりの衝撃でした。
(私自身、日本では〜フェスティバルといった演劇祭で、新しいタイプ演劇を鑑賞することがありますが、それと比べて。)
またブロードウェイの「歌とダンスで表現」というのとは違った種類の、やはり「演劇」としての魅力を感じました。
ミュージカルも1本観たのですが、すごい内容でした。夜10時30分開演ということもあり、大人の内容(下ネタ)が炸裂で大爆笑の連続。しかしそれを支える演技の上手さが嫌というほど感じられ、やっぱり「イギリスは演劇の国だー」と再確認させられました。
ただし英語の壁は如何ともし難く、内容はざっくりと理解、あとは憶測で観る部分が多かったのが、個人的に悔しかったのですが・・・
しかし英語が苦手な人もご安心を。ダンスや視覚的なパフォーマンス、ジャズ、アカペラ、コーラスなど、言葉抜きで楽しめる演目も盛りだくさんです。
しかし実は公演の質は千差万別 でもレビューをチェックすれば大丈夫
もらったチラシの数々 実際にもらったのはこれ以上
実はフリンジの3,000を超える公演の質は、ピンからキリまでです。
しかしフリンジには、必ず「当たり」の公演が観られる心強い味方がいます。
勘の良い方ならピンときているかもしれませんが、それは「レビュー」です。
フリンジは、「broadway baby」など幾つか口コミのサイトを持っています。
多くの公演が、昨年度までのレビューや星を持って、フリンジの開幕を迎えます。
五つ星、四つ星あたりの公演なら、あとは好みの問題で、ほとんど失敗はないと思います。
これは街頭で配っていたチラシ。5つ星は嘘をつかない!本当に面白かった。
フリンジのガイド本からも高い評価の公演を探すことができます。
公演は、約300の劇場で毎日同じ時間にプログラムされているので、それ以外の時間帯なら、出演者の人たち自身が、ロイヤルマイルでチラシを配っていることもあります。その時に「あっ、この人の公演なら観たいかも!」なんていうか出会いがあるのもフリンジならではです。
私もそれで何公演かは決めました。
あとロイヤルマイルの特設ステージでは、いろんな公演のミニステージがあり、それで興味を持った公演に行くこともできます。
こちらはUPPER STAGE。アカアペラグループがパフォーマンス中。
しかし私が観た中で、1つだけ評価がまだついていないものがありましたが、今年の新作&ロックミュージカルということで、チャレンジのつもりで観ました。
結果は惨敗でした。(ロックミュージカルなのに、カラオケなんて・・・涙)
やはりレビューや星の数は役立つなぁと改めて思いました。
私はエジンバラにはたった2泊だけの滞在だったので、かなり頑張っても7ステージしか観られず、断念した公演もたくさんありました。
というわけで、かなりの高確率で、来年の夏もエジンバラへフリンジを見に行くことを決めてしまいました。。いやぁ、まさにフリンジにどハマりです。
次回は、実際にどんな公演を観たのかをお伝えしますね。