現在Bunkamuraミュージアムで「猪熊弦一郎展 猫たち」が開催されていますが、その猪熊弦一郎の名前を冠した美術館が、香川県丸亀市にあるのをご存知ですか?
実はこの美術館、設計を手掛けたのは谷口吉生。ニューヨーク現代美術館MOMAの新館や、最近ではGINZA SIXの設計も行っています。
また猪熊弦一郎は、戦前はパリでアンリ・マティスに師事し、戦後はニューヨークで、ロスコやイサム・ノグチ、ジャスパー・ジョーンズらと交友を深めたという経歴の持ち主なのです。
また誰もが目にしたことのある作品として、三越の昔の包装紙(白地に赤い模様)のデザインがあります。
そんな「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」にいつか行きたいと思っていましたが、瀬戸内アート旅でチャンス到来。高松から少し足を伸ばして訪れることにしました。
MIMOCAへの行き方
MIMOCA(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)は、JR丸亀駅のすぐ目の前にあります。
JR高松駅から丸亀駅へは乗り換え無しの1本で行けます。快速電車だと約30分、各駅停車でも45分くらいです(片道550円)。特急列車もありますが、料金が倍近くするのでご注意ください(片道1,070円)。
外観からワクワクさせる美術館
MIMOCAは、JR丸亀駅を出て右を見ると、すぐ目の前に現れます。まさに丸亀の顔のような建物です。
MIMOCAの正面は、美術に関心もある人もそうでない人も、全ての人が楽しめるような空間で丸亀駅の表玄関を明るく彩るのに一役買っています。
また美術館の正面に描かれた、一見子どもが描いたかのようなのびのびとした壁画は、美術に対する小難しい垣根を取り払い、中にはどんな面白いものが詰まっているんだろうという期待感を私たちに与えてくれます。
入る前からワクワクしますね。
左側にある入り口から入ることにしましょう。
猪熊弦一郎の常設展
2階は猪熊弦一郎の常設展になっています。
わたしが訪問した時は、一つの部屋では、「小説新潮」の表紙の原画がずらりと展示されていました。
玄関の壁画とはまた違った、猪熊弦一郎の魅力がいっぱいです。
またそれぞれの原画に添えられた「小説新潮」に連載されていた彼のエッセイもなかなか魅力的です。
展示室の中央には、好きなものや針金を使った小品などが並べられていました。こういう作品を見ると「アートって楽しい!」という気持ちが、自然に湧いてきますね。
次の展示コーナーでは、主に猪熊弦一郎の人物画が展示されていました。
wikipediaによると、
猪熊弦一郎は、1938年フランスに移り、アンリ・マティスの指導を受ける。この時、マティスに自分の絵の批評を請うと「お前の絵はうますぎる」と言われ、これを自分の画風が出来ていないと捉えて愕然とする。以来、自らの画風を模索する歳月を過ごすが、マティスの影響からなかなか抜け出せなかった。
とありますが、正面の壁画のような抽象画だけでなく、このころの作品が私はとっても好きです。
マティスとはまた違った美しさが、人物画の中にあるような気がするのです。
企画展も魅力的
3階では企画展として、荒木経惟の写真展が開催されていました。天井の高い大きな展示フロアを生かした、ダイナミックな展示でした。
谷口吉生建築も堪能しましょう
コンパクトながら、中心にオープンな階段を配しているため、美術館の全体をどこにいても感じられるようになっています。
また外階段はまっすぐ3階のカフェとパティオにつながり、長く伸びる階段が、縦方向の伸びやかさを感じさせてくれます。
3階には「カフェレストMIMOCA」があります。
残念ながら時間がなくて入れなかったのですが、お店の HP店内のによると、インテリアはイサムノグチ、剣持勇ら猪熊弦一郎にゆかりのある作家、あるいはアルヴァ・アールトやハンス・J・ウェグナーや猪熊と同時代に活躍したデザイナーがデザインした家具を中心に構成されているということです。
1階にはミュージアムショップがあります。
猪熊弦一郎デザインのテキスタイルも売っていて、なかなか楽ししめる店づくりになっていました。
彼が生きた各年代よって様々な魅力を持つ猪熊弦一郎。
スタッフの方に聞いたところ、企画展の変更に合わせて、常設展も入れ替えているということなので、また数ヶ月後には新しい展示内容になるのですね。
近くに住んでいる人が羨ましいです。
「MIMOCA丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」、瀬戸内芸術の旅に訪れる方に、高松から電車で30分足を伸ばして、ぜひ訪れて欲しい美術館なのです。