ダリ劇場美術館を満喫した私ですが、お楽しみはこれだけでは終わらなかったのです。
美術館を出る際に「宝石美術館にも行ってね」と案内されますが、寄らずに帰る人も多いような気がします。
本当にもったいない!
この宝石美術館だけで、企画展ができるくらいの充実度です。
ダリ劇場美術館を出て、少し歩いた角に入り口はあります。宝石の輝きを美しく見せるために、館内は全体的な暗めです。そのため、このような閉ざされた作りになっているのだと思います。
ところでダリはアート作品だけでなく、舞台衣装やファションのデザインなども手がけていたようです。これは有名な「靴帽子」。靴と言われなければ、モード系のおしゃれな帽子に見えますが、いったん靴と思ってしまうと、なかなか真顔でかぶる人を直視できそうにありません。
しかし、こんなインパクトのある帽子を作るなんて、ダリはやはりただ者ではないですね。(ちなみにこの帽子は宝石美術館にはありません。)
こんな風にファションにも精通していたダリ、ジュエリーのデザインを手がけていたことも合点がいきます。
昨年の国立新美術館のダリ展でも、ジュエリー作品が2点ほど展示されていましたが、その時は、ジュエリーというより、素敵な彫刻作品のような印象を受けました。
しかしダリ宝石美術館の作品は、まさに宝石!
それもかなり贅沢にゴールドやルビーやパールなどが使われています。
アートが好きな人も、宝石が好きな人も、満足できること請け合いです。
それではダリ宝石美術館の作品の一部をご紹介しますね。
王冠を被ったハートの中には、ルビーの心臓がドクドクと動く仕掛けになっています。
これは説明不要ですね。なんとゴージャスな口!
こんな風にフォトグラフとコラボして展示されている作品もいくつかありました。
瞳が時計になったブローチ。涙が一粒。
この作品はダリのデザインスケッチとジュエリーが、一緒に展示されています。
珊瑚のクロス
鳥のような、虫のような脚を持つ象。象は背中に乗る宝石を運んでいるのか、それとも象自体が宝石を支えるただの土台なのか。
メドゥーサを彷彿とさせます。
ざくろの心臓のブローチ。ルビーの粒が、本物のざくろの実のようです。
花弁の一枚、一枚が手になっていて、ダイスのようなものを握っています。食虫植物以上の捕獲力を感じさせます。
ダリといえばこれ、ゆがんだ時計が木の枝にぶら下がっています。
意外に、男性の観光客の人もダリのジュエリーを楽しんでいました。ジュエリーにいろんな仕掛けや驚きがあって、ダリの旺盛なサービス精神を感じますね。
しかし正直なところ、これは実際には着けられないなと思っていた私ですが、実はダリはジュエリーのデザインは、ルネッサンスからインスピレーションを得ていたらしいのです。確かにルネッサンス当時のドレスなら、こんなゴージャスなジュエリーも合いそうな気が・・・
ダリは奇想天外で、時代を先取りしていたイメージがありますが、同時に古い時代の良さを取り入れることに、長けていたのかもしれませんね。
お土産にレプリカの一つでも欲しいところですが、やはりそれなりのお値段です。
ここは我慢して、目に美しさを焼き付けて帰ることにしましょう。