画像は全てプラド美術館Wikipediaから引用してます。
カフェ・プラドでお腹が満たされたところで、いよいよプラド美術館の展示室へ。
プラド美術館の作品をご紹介します
プラド美術館は主に、12世紀から19世紀ごろまでの、主にスペイン、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス等の絵画を展示しています。
その中でも、スペインを代表する画家であるエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤらのコレクションはまさにスペシャル!!
ここに来ないと味わえない至福の時間を与えてくれます。
ほかにも、カラヴァッジョ、ラファエロ、ティツィアーノ、ルーベンス、ボスなど、本当に素晴らしい絵が多くて、美術館にいるあいだ中、多分私の顔はずっとニヤついていたんじゃないかなと思います。
オーディオガイドを借りたのですが、一緒にもらえるチラシのおかげで、見逃せない作品の場所が一目瞭然でした。また展示室が一直線になっていてとてもわかりやすく、もちろん広いのですが、持て余すほど広いというわけでもありません。
そしてなにより展示作品に占める名画の割合がとても高いので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。(まぁすべて名画といえば名画なのですが・・・)
おすすめの作品をいくつか紹介すると…
(館内は撮影不可なので、画像はネットからの引用です)
エル・グレコ「胸に手を当てた騎士」
地味な絵ですよね〜。黒い衣装にに黒い背景、おまけに髪もヒゲも目の色も黒いです。
エル・グレコの絵は宗教画が多く、鮮やかな色使いが特徴的です。プラド美術館にも「聖三位一体」や「羊飼いの礼拝」など美しい宗教画があります。なのになぜこんなに地味な絵が有名なのか?こういう絵こそ、本物に会うのがとっても楽しみだったのです。
絵の前に立った途端、わかりました。
黒の中に光が当たったかのように浮き上がる顔と、同じぐらい存在感のある右手、そしてその顔と手をいっそう際立たせる繊細で光沢を持った白いレース。
肖像画でありながら、単なる肖像画にとどまらない絵でした。
エル・グレコが、色や装飾や背景を排除すればするほど、モデルの目や手や表情から、モデルの内面に潜む意志や気高さのようなものが伝わって来る。そんな作品でした。
ベラスケス「ラス・メニーナス」
あまりにも有名なので、あえてここで書かなくても良いかなと思いましたが、やはりプラド美術館に来ると、この絵は外せないですよね。
マルガリータ王女を中心に置くことで、一連の「マルガリータ王女の肖像画」と同じく気品を感じさせる作品になってはいるのですが、女官達の真面目な動作や表情がユーモラスであり、そしてミステリアスでもある、幾重にも見所を描きこんでいる作品だなと思いました。
正直のところ、17世紀に宮廷画家としてこの作品を描いたということに驚いてしまいました。
ピカソがこの絵をモデルに、同じ構図で同じタイトルの絵を描いています。バルセロナのピカソ美術館にある「ラス・メニーナス」を鑑賞予定の人は、オリジナルも必見ですね。
ゴヤ「黒い絵」シリーズ 14枚 (1808年5月3日の銃殺)
多くの死者の上で降参する人々と、銃を向ける兵隊たち。ちょっと目を背けたくなるような光景です。
ゴヤは40歳過ぎで宮廷画家になるものの、数年ののちに聴力を失います。しかしその後の方が宮廷画家として高い評価を得るようになったそうです。宮廷画家としての作品もちょと皮肉が入っていて「やるな」という感じです。
ここで紹介したのは「黒い絵」シリーズの1枚なのですが、宮廷画とは程遠いですよね。
当時は独立運動や闘争が絶えない時代でもあり、そのことに心を痛めたゴヤは、マドリード郊外に、かつて聾者(耳が聞こえない人)が住んでいた家を買い取って引きこもり、その家の壁に14枚の壁画を描きます。
これが有名な「黒い絵」シリーズです。グロテスクな絵も多く、ゴヤの画風の振り幅の大きさに驚かされます。
この中には、以前ブログで紹介した「我が子を食らうサトゥルヌス」もあります。
でもゴヤといえば、やっぱり「着衣のマハ」「裸のマハ」が有名ですよね。特に「裸のマハ」は西洋美術で初めて女性の陰毛を描いた作品として、1800年当時は大問題となり、裁判になったそうです。そして裁判の結果「裸のマハ」は、100年もの間プラド美術館の地下にしまわれていたようです。「攻めてるなー、ゴヤ」
ゴヤ 「裸のマハ」
カラヴァッジォ 「ダビデとゴリアテ」
この絵は1600年頃の作品なので、カラヴァッジョが抗争の末、殺人事件を犯してしまう以前の作品です。枢機卿の画家として、名実ともに認められ、まさに乗りに乗っていた頃に描かれたものですね。
カラヴァッジョは、ダビデと斬首されたゴリアテの絵を何枚か描いています。すべてが彼の作品かどうかは諸説あるようですが、最後の1枚はゴリアテの首がカラヴァッジョ自身の顔になっており、「自画像」とも言われています。
カラヴァッジョがローマにいた頃に描いたこの作品と、殺人事件を起こし、流浪の画家?となった後、自分とゴリアテを重ねて描いた作品を、いつか自分の中で見比べようと、しっかりと心に刻みました。
ところで、以前ブログでダビデについて書いています。読んでいただけると、この絵の場面をより理解してもらえると思います。
このペースで絵を紹介し続けると、数日間この話になりそうなので、あと一人だけ紹介させてください。
ボス「快楽の園」
シュルレアリスム?
この絵を初めて見た多くの人はそう思ったのではないでしょうか。ダリやマグリットのような、まさに超現実主義の絵に見えますよね。
実はこの絵が描かれたのは1500年前後。ちょうどイタリアではルネッサンスの全盛期で、ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍していた頃になります。
実はこの絵は祭壇画なので、パネルに描かれていて、観音開きに開くとこういった形になります。
遠目に見ると、1500年ごろの祭壇画というのも頷けますが、描かれた世界観がまさに奇才。唯一無二!
ボスがこの祭壇画を描いた後400年以上経って、ダリやキリコ、マグリッド達が登場しますが、これこそまさに、時代がボスに追いついたという感じですね。
かなり大きな作品なので、一つ一つのモチーフをじっくり鑑賞することができます。
私の趣味で紹介すると、どうも偏りが出てしまいますね。
このほかにも見逃せない名画がいっぱいです
このほかにもルーベンスの「三美神」やアンジェリコの「受胎告知」など、思わず見入ってしまう美しい絵画や、迫力のある宗教画でいっぱいです。
本当はまだまだ紹介したいのですが、今日はこの辺りにしておきます。
勘の良い人なら気付いたかもしれませんが、スペイン随一の国立美術館にも関わらず、ピカソやダリ、ミロといったお馴染みの画家の作品は、現在は1点もここでは展示されていないのです。
最初にもちょっと書いたのですが、プラド美術館は19世紀ごろまでの作品、具体的には、スペイン絵画は1910年までの作品を展示しているのです。
なのでこのあとは、プラド美術館から徒歩15分ほどで行ける「ソフィア王妃芸術センター」にも行くことにします。
何といってもそこには、あのピカソの「ゲルニカ」が展示されているのです。
プラド美術館に後ろ髪を引かれつつ、でもワクワク〜で向かいます。