今日は、週末に女友達に会った話から始めたいと思います。
友達は今夏に娘さんと2人のイタリア旅行を現在計画中です。
会う前からLINEで、「最後の審判は絶対は見たいから、予定に入れてと娘に頼んでいるんだ」と話していて、私も「最後の審判いいよね〜」「すごい行列ができるから絶対予約しておいたほうがいいよ〜」など、すでに盛り上がっていたのです。
当日は、さんざんヴァチカン美術館の話をした後で、私が何の気なしに、「絶対、最後の審判と最後の晩餐を勘違いする人っていると思うんだよね」と話すと、彼女の言葉が止まりました。
「もしかして、見たかったのは最後の晩餐・・・?」
本当に良かったです。すごい人助けをしてしまいました。友達は、予定を変えて、急遽ミラノを旅程に組み入れることにするそうです。
でもこの間違い、絶対あると思うんです。
晴れてイタリアで実物の前に立った時、「あれ?私が見たかったのはこれじゃなーい!」という悲劇に見舞われるなんて、考えただけでも恐ろしい・・・
そうならないためにも、今日はそれぞれの絵画を簡単の違いをしっかり頭に叩き込んでおきましょう。
「最後の晩餐」レオナルド・ダ・ヴィンチ作
「最後の晩餐」は言わずと知れた、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作で、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会内の修道院の食堂にある壁画です。
「最後の晩餐」というのはその名の通り、イエス・キリストの最後の晩餐を情景で、キリストが「12弟子の中の一人が私を裏切る」と予言した、まさにその時を描いています。
おそらく「モナ・リザ」と並んで、誰もが死ぬまでに一度は見たいと思う名画の1つではないでしょうか。
最後の審判 ミケランジェロ・ブオナローティ作
次に「最後の審判」ですが、こちらはミケランジェロ作のフレスコ画で、ヴァチカン美術館内のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれた、縦14メートル横13メートルの大作中の大作です。
「最後の審判」は、キリストが再臨して、人々を地獄に行くのか、天国に行くのかを裁く場面を描いたもので、画面に向かって左側に天国へ向かう人、右側に地獄へ落ちる人が描かれています。
どちらもルネッサンスの巨匠による壁画で、イエス・キリストを題材としている点など共通点もあるため、似ても似つかない絵画にもかかわらず、混同してしまうことがあるのだと思います。
そして何より同じ「最後の〜」という邦題。これが紛らわしさの元凶ですよね。
長い年月を経た名画なので、どちらの絵画も「修復に悲しい歴史」があるというのも共通してる
「最後の晩餐」の方は、粗悪な修復に次ぐ修復で、実は、数十年前までダ・ヴィンチ感ほぼなしの状態だったのですよ。
ミラノにあるレオナルド・ダ・ビンチ国立科学技術博物館に、修復前の「最後の晩餐」のレプリカがあります。この作品を見た時は思わずのけぞってしまいました。
上には天使が描かれ、キリストもとってもラブリー。なんか幸せオーラまで感じるような作品だったのです。
これには「ダヴィンチ・コード」のトム・ハンクスもびっくりですよね。
1977年〜1999年という20年以上に及ぶ修復作業のおかげで、ダ・ヴィンチのオリジナルの色彩や輪郭が戻ったようです。
良かったね〜、ダ・ヴィンチ!
一方、「最後の審判」の修復はとっても有名ですよね。
ミケランジェロといえば、究極の肉体美を持つ「ダビデ像」が有名ですが、
「人間は神の姿に似せて創られたものであり、この世界で真に美しくまた真実をっ語るものは裸体である」と裸体に美しさを見出していた彼は、「最後の審判」の中でキリストを始め多く人間を裸体で描いたのです。
しかし彼の死後に、”教会の祭壇に裸体は不謹慎”と布を書き足されたことはあまりにも有名ですね。
こちらも近年の修復で、一部を除いては元の姿に戻されたそうです。
良かったね〜、ミケランジェロ!
ミケランジェロについてはこんな記事も書いています。もしよければ・・・