ワシントンD.C.の美術館シリーズはまだ続きますよー。今回はスミソニアン美術館・博物館群の中にあって異彩を放つ「ハーシュホーン美術館」です。
最初のアンディ・ウォーホルを見てピンと来た方は鋭い!
そうです、ここは現代アートの美術館です。
そして例のごとくスミソニアンなので、ここも無料で入館できます。
もうワシントンD.C.ほんと大好き!
外観もご覧の通り、円柱形のユニークな作りになっています。
そして美術館前には、ロイ・リキテンスタインのオブジェが。
これは見覚えが!
昨年の夏、ピカソのゲルニカを展示しているマドリードの「ソフィア王妃芸術センター」で見た、あのオブジェと同じです。
こちらはソフィア王妃芸術センター前のリキテンスタイン
こっちにも見覚えのあるかぼちゃが。
これはワシントンに来る1週間前に訪れた、直島の黄色いかぼちゃとお揃いですね。
黄色いかぼちゃはこちらでも人気のようで、記念撮影をする人が次々とやってきてました。
こちらは直島の黄色いかぼちゃ
ロイリキテンスタインや草間彌生の屋外展示のオブジェは「ここもそれか〜」という感じが無きにしも非ずですが、悔しいけれど、そこにあるだけで人を惹きつける魅力がありますね。
まずはフロアマップを見てみましょう
外観からわかる通り、中も円形です。
地下は長方形になっていて、ミュージアムショップとエキシビションの展示室があります。
1階はロビーとカフェです。
地上の展示室は2階と3階にあります。
特に順路は無いようなので、中央のエスカレーターに乗って3階に向かいます。
企画展「what absense is made of(何が欠けているか)」
legs 長っ!細っ!
河原温 todayシリーズ
展示していない現代美術館がないくらい有名です。日本が誇るアーティストですね。
クリスチャン・ボルタンスキー 「モニュメント」
クリスチャン・ボルタンスキー は、直島で「心臓音のアーカイブ」という作品を見たばかりです。こっちの方が好きかな。
歴史や記憶、失われたものや死を表現し続けたボルタンスキー らしい作品だなと思います。
この作品は、ホロコーストで失われたものものへの記念碑です。胸に迫る作品ですね。
現代アートは、最初はとっつきにくいけど、色んな展覧会に行くうちに、自然に好きなアーティストが増えていくのが嬉しいですね。
杉本博司 水平線シリーズ
時間や場所を超えて普遍的な風景、それは水平線であるというコンセプトのもと、世界各地の水平線の写真を発表しているアーティストですね。
っていうかこのシリーズの作品も、1週間に直島のベネッセミュージアム+直島の崖で見ました。(その記事を書く前にワシントンD.C.の方を書き始めてしまった(^_^;)
直島はここハーシュホーン美術館に来る前の前震だったの?それともこっちが直島の余震?
少し暗めの作品が続きましたが、ここからは楽しくいきますよ〜。
ロン・ミュエク untitled(ビッグマン)
みんな大好きですよね〜。ロン・ミュエク。
十和田現代美術館の「スタンディング・ウーマン」は、美術館開館当時、日本のTVワイドショーで繰り返し取り上げられ、レポーターの人たちが素直に感動していました。
十和田現代美術館 ホームページより
「えっ?すごい!生きてるみたーい。」
現代アートは、コンセプト重視でよく訳が分からないものもあるけれど、素直に見て感動できる作品も沢山あります。
ロン・ミュエクはそんなアーティストの一人。
私も十和田で「すごーい」と感激した記憶が。
ハーシュ美術館のビッグマンは、大きな体を小さく丸めて部屋の隅に座っています。おまけに素っ裸!あの〜かなりバッチリ見えてますよ。
それでは2階に降りることにしましょう
企画展 brand new arts and commodity in the 1980s (80年代のアートと商品)
1980年代といえば、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルの作品に代表されるように、現代アートが広告という媒体を通して、広く世間に浸透した時代といえますね。
ある意味、今よりアートが身近だった時代かも。
そんな明るくて楽しい現代アートの世界を堪能できた企画展でした。
ペプシ飲みたくなる。
ウォーホルの牛の壁紙がめちゃめちゃかわいい。
これはあの有名なタバコのパッケージ?
おそらく40歳以上の人なら、この特徴的なデザインで、タバコのマルボロということがわかりますね。1980年代はまだタバコが映画やテレビドラマでもかっこよく取り上げられる時代でした。
特にマルボロのカウボーイのコマーシャルは、タバコの魅力全開!独特の世界観で多くの人を魅了していました。
あれから3〜40年、世間のタバコに対するイメージは大きく変わりました。時代が変わるといろんな価値観が変わるのは世の常ですね。
ちなみにこちらの作品は、ショートパスタでできています。
バーバラ・クルーガーの有名な作品
「I shop therefore I am (我買う、ゆえに我あり)」
文字が書かれた白いカードはクレジットカードですね。当時のアメリカの消費至上主義を痛烈に皮肉った一枚。
一冊の本にも値するメッセージを、この作品一枚で端的に表すことができる。やっぱり現代アートっておもしろい。
こちらは、ジェフ・クーンズの作品。
80年代はこんな感じのポップアート作品も作っていたんですね。
ジェフ・クーンズといえば、私が昨夏訪れた、ビルバオのグッゲンハイム美術館の「パピー」が有名ですね。「パピー」は正面玄関の前に立つ、ビルバオ・グッゲンハイム美術館の顔とも言える作品です。
「puppy」
グッゲンハイム美術館には、ジェフ・クーンズの作品がもう一つあります。
美術館の裏手に展示されています。印象的な作品。
「tulips (チューリップ)」
その時の記事はこちら
2階の企画展はこの他にもいろんな作品があり、かなり楽しむことができました。
企画展「THE UTOPIAN PROJECT (ユートピアプロジェクト)」
2階の廊下には、日本の芸術祭ではすっかりおなじみの感があるイリヤ&エミリア カバコフの「ユートピア プロジェクト」を、大々的に展示していました。
「こんなのあったらいいな」「まさか無いよな」と思うようなものを、屋外に作ってしまうという壮大なプロジェクトです。美術館の展示は、企画内容のパネルと模型になります。10作品以上が展示されていましたが、ここで一部を紹介しますね。
「天使に会いに行く方法」
2009年オランダ、2013年ドイツ、2016年オーストリアで実現済みです。
天使に会えたかどうかは不明。
「山の上のトイレ」
これは1996年にフランスで実現済み。
「落ちた空」
こちらは2016年の茨城県北芸術祭で日本で実現した作品です。
こんなバカバカしい夢を本気で実現させるなんて、現代アートってほんとおもしろい(本日2回目)。
地下はこんな感じで、めちゃめちゃインスタ映えします。
ミュージアムショップで見つけたアクセサリー。めちゃめちゃアート。
屋外の彫刻の庭も見ごたえありです
屋外のオブジェは、最初に紹介したリキテンスタインや草間彌生のほかにこんなのも。
現実世界でこんな情景に遭遇したら大惨事なのだけど、アート作品となると話は別。
「うゎーすごい」と、私たちの心のどこかを強く動かすことができれは、価値のある作品ということになりますね。
彫刻の庭の方に回ると、
ムーア
ミロ
ロダン 「カレーの市民」
実はこれは同じ物が国立西洋美術館にもあります。それは彫刻は12体まで同じ鋳型を使って良いことになっているからなのです。
最後は私好きなな マリノ・マリー二の「馬と騎手」
ワシントンD.C.はダヴィンチから現代アートまで、ありとあらゆるタイプのアートが、狭い地域にギューっと集まって私たちに開放されています。それに無料!本当になんてステキなところなんだ。
こんな感じで、現代アートについてはどうしても語ってしまいます。
最後まで読んでくれた人がいらっしゃいましたら、お付き合いいただきどうもありがとうございます。
いつもこんなこと感じつつ、たぶん色々ブツブツ言いながら美術館を回ってます。
これも一人だからなせる技かな。
友達や家族にいちいち解説したら、完全に面倒くさい奴ですよね。